インプラントが天然の歯に比べ、歯周病に感染しやすい理由として歯肉の防御機構が弱いことが挙げられます。天然歯の場合、歯肉の結合組織は歯根に対して垂直に走っており、強く結合しています。ところがインプラントでは、ほとんどのインプラントが金属のため、インプラントに対して歯肉が密着しているだけなのです。このため、インプラントを入れた部分は歯肉が剥がれやすく、歯周病で炎症を起こすと歯肉の奥に広がりやすいのです。
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もう一つはインプラント周囲の歯肉の血流が少ないことです。歯肉で歯周病菌が増殖を始めるとからだはなんとかして菌をやっつけようと、毛細血管の血流を通じて病原菌を殺す働きをする白血球を歯肉にたくさん送り込んできます。つまり、歯肉が炎症を起こすのは血流が豊富になり、白血球が歯周病菌と戦っている証拠です。この戦いに体が勝てば歯周病の勢いもおさまります。一方、インプラントを囲む歯肉は歯根膜という組織がないために天然歯に比べて毛細血管の数が減っています。このため血流が不足しやすい状態になっているのです。
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