口の中には700種類以上の細菌が生息し、腸に次いで細菌数が多い場所です。歯周病が全身の病気に深くかかわることが明らかになっている現在、腸内環境と同じように口の中の細菌叢のバランスを整える食品等の摂取により、歯周病の予防・治療を目指す考え方が広がってきています。「プロバイオティクス」と呼ばれるものです。背景には抗菌薬の使い過ぎによって発生する耐性菌の問題もあります。抗菌薬が効かない耐性菌は世界的に脅威となっており、それ以外の方法で病原菌を阻止する治療法がどの分野においても期待されているためです。
すでに研究されているのは乳酸菌の一種の「ロイテリ菌(ラクトバチルス)」で、基礎臨床・研究では歯周病菌を抑制する働きが確認されています。また、他の乳酸菌の「LS1」や「WB21」を歯周病患者さんが摂取すると、症状の維持や改善傾向がみられたという報告も出ています。これらの菌が含まれたヨーグルトやタブレットが市販されていますが、あくまでも従来の治療の補助的な位置付づけであり、それだけで歯周病を治すというものではありません。