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歯周病と骨粗鬆症🦴

 骨粗鬆症は歯肉の炎症とは直接、関連しませんが、歯周病と深い関わりがある病気として知られているので紹介します。

 

 骨粗鬆症は全身の骨強度が低下し、骨がもろくなって骨折しやすくなる病気です。「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」によれば、日本では推定約1300万人以上の患者がおり、増加の一途をたどっています。患者のうち約1000万人は女性です。

 

 歯周病と骨粗鬆症はともに骨に変化があらわれる病気です。そのメカニズムはまず、骨粗鬆症によって全身の骨密度が低下し、歯を支えている顎の骨の骨密度や骨量の低下が起きることがあります。こうした状態で歯周病が発症するとその進行も速くなります。

 

 また、骨粗鬆症は閉経後に起こるタイプが多いことが知られています。この原因は閉経による卵巣機能の低下により、骨代謝にかかわるホルモンのエストロゲン分泌が低下することだと言われています。この閉経後骨粗鬆症の人が歯周病を発症している場合、そうでない歯周病の人に比べ、歯槽骨の吸収が進みやすいことがわかっています。

 

 閉経前には抑えられていた骨吸収に関係するTNF-αなどの炎症性サイトカインが閉経後に増え、歯槽骨の吸収が促進されることが原因と言われています。

 

 なお、骨粗鬆症の薬としてよく用いられるビスフォスフォネート製剤を使用している人が、抜歯などの治療を受けた場合、周囲の歯槽骨が壊死するなどのトラブルがわずかに報告されています。しかし、多くの場合は骨粗鬆症の薬を使用していても一般的な歯科治療は受けられます。

 

 抜歯や歯周外科治療などを考える際には、患者さんの骨粗鬆症の薬の服用方法(注射またh経口投与)や、期間、骨折などのリスクファクターの有無を把握することが重要です。医師や歯科医師と患者さんとで十分話し合いながら、処置に際して薬を続けるかどうかを、慎重に決めることが大切です。

2024年04月09日