1)歯周病の進行は差が大きい。1割の人は重症化する!)
同じ民族で、同じ場所に住み、同じようなものを食べていても、歯周病の進み方は人によってかなり違うことが解明されてきました。最初は、約40年ほど前に、スイスの研究者らがスリランカのお茶農園で働く人たちを対象に行った研究です。農民たちには当時歯を磨く習慣がなく、歯科医師もいません。そこで「歯磨きや治療をしないままほったらかしにしておくと、歯周病はどのように進むか」を調べてものです。全員歯肉炎にはなるのですが、11%の人はほったらかしもかかわらずそれ以上は進行しません。一方で1割弱(8%)が重症化し、20代から歯周病の症状が出始め歯が抜け落ち、40代になるとほとんどの歯を失いました。歯周病の進行状況は大きく違ったのです。
その後も多くの研究がおこなわれ、先進国でも歯周病患者の10%前後は重症化になることが報告されています。また、日本臨床歯周病学会がおこなった歯周病実態調査では、30〜40代の若い世代でも重度歯周病患者が15%ほどを占めていました。どのような人が重症化しやすいのかについては後日報告して行きます。
(まとめ)
・同じ民族で、同じ場所に住み、同じような食べ物を食べていても、歯周病の進行は異なる。
・ほったらかしにしていても進行しない人がいる一方で、1割弱の人は重症化し、40代になるとほとんどの歯を失う。