・心筋梗塞や脳梗塞患者の多くは歯周病にかかっている
心筋梗塞や脳梗塞は血管の病気の代表です。特に脳梗塞は命が助かっても、麻痺などの後遺症が残るケースが多く、中高年には要注意と言える病気です。
1000人以上を対象に行われた研究で、重度の歯周病にかかっている人はそうでない人に比べ、心筋梗塞や脳梗塞などの循環器疾患の発生率が1.5~2.8倍も高いことが明らかになっています。
こうした循環器疾患の引き金になるのが動脈硬化です。動脈硬化とは血管の内側にコレステロールなどが沈着して血管が細く硬くなり、血液の流れが悪くなった状態をいいます。歯周病と動脈硬化の研究については、動脈硬化を起こした血管内壁から歯周病菌が見つかったという報告が最初です。これまで循環器疾患にかかりやすい原因として、食生活や運動不足、ストレス、喫煙などの生活習慣病が挙げられてきましたが、この報告以来、別の要因として歯周病が注目されるようになたったのです。
その後の多くの研究で、動脈硬化の病変から悪玉三兄弟のP.g菌とT.d菌が高い頻度で見つかっており、特にP.g菌が病気と関連が深いと考えられています。
また、こうした患者さんでは、血中の炎症性物質のIL-6やTNF-αなど「炎症性サイトカイン」のあた値が高いことが報告されています。同じく好感度CRP(循環器疾患のマーカーであり、炎症の指標となる)の数値が高いこととも関連すると考えられています。