歯周病と関節リウマチ🦴

 関節リウマチは自己免疫疾患の一つで、関節の滑膜という部分に炎症が起こり、「こわばり」「痛み」「腫れ」が生じる病気です。自己免疫疾患とは、本来ならからだに入ってきた異物を排除する免疫系がなんらかの原因により、自分自身の細胞やタンパク質を異物ととらえて攻撃し、それによって起きる病気の総称です。関節リウマチの場合は攻撃が滑膜に起こり、進行すると骨や関節を破壊するのです。ただし、なぜこのようなことが起こるのか、明らかな原因はわかっていません。

 

 歯周病とリウマチに関する多数の研究報告を分析した調査で、関節リウマチの人たちはそうでない人たちに比べ、歯周ポケットの深さが1.17倍歯の喪失は2.38倍、高いことが報告されています。一方、中等度、重度の歯周病患者は健常者と比べ、関節リウマチのリスクが高いことがわかっています。

 

 実は歯周病と関節リウマチの病因、病態には共通点が多いのです。

 

 いずれも患部に慢性的な炎症が起こっており、炎症性サイトカインや骨を壊す細胞が組織破壊を引き起こします。また、発症には遺伝的要因もあり、環境要因の喫煙が発症と悪化の要因という点も同じで、歯周病と関節リウマチに双方向の関係がある可能性があります。

 

 また、歯周病の患者さんは手指の機能障害のためにプラークコントロールが困難であることや、関節リウマチの治療薬で免疫力が低下し、それによる感染のしやすさから歯周病を併発しやすいこともあります。

 

 一方で、歯周病治療によって関節リウマチの病状が改善したという報告が、複数あります。歯周病治療により関節リウマチにかかわりが深いとされるシトルリンというアミノ酸の血清中の濃度や、Pg菌に対する血清抗体価が減ることなどが確認されています。

2024年03月22日