バイオフィルムってなんだろう?

 歯周病菌やう蝕細菌の集合体をプラークといいます。これらの細菌は自らが作り出す菌体外多糖(グリコカリックス)によってバリアーを張っています。このバリアーに守られている細菌の集合体は、直接歯面に付着できない菌種も他の菌種の仲介によって歯面に存在することができます。付着や栄養素の面でお互いに協力、拮抗し合うことで、細菌の共同体は安定状態となります。細菌はこのバリアーの中にいる限り、細菌を攻撃しようとする宿主の白血球や抗体などから自らを守ことができるのです。この構造がバイオフィルムです。

 なぜ除去しないとダメなの?

 歯の歯面にバイオフィルムができてしまうと、歯のエナメル質が唾液に触れなくなり、唾液による洗浄作用がなくなります。そのため、バイオフィルムで守られた内側は細菌が繁殖しやすい環境になり、う蝕や歯周病の原因となってしまいます。ポケット内部でバイオフィルムが増殖すると、細菌を攻撃する白血球や抗体が登場しますが、細菌はバイオフィルムのバリアーで保護されているため、それらの攻撃を受けません。逆に白血球の産物による病原因子や内毒素により歯肉が破壊され、歯肉の炎症はさらに拡大します。

 どうすれば除去できるの?

 バイオフィルムは抗菌剤などの化学療法には抵抗性を持っているので、歯ブラシや超音波スケーラー等の機械的な破壊と除去が必要です。しかし、歯周ポケット内部には歯ブラシは届かないので、患者さん自身ではバイオフィルムを除去することはできません。そこで、ポケット内に届く機械的な道具が必要となるため、専門家によるプロフェッショナルケアが重要なのです。その効率的な方法として、パウダーメインテナンスが注目されています。

2024年07月25日